2007-09-07

じいちゃん伝説:夫婦愛編

ばあちゃんが半年くらい入院していた。
2,3ヶ月で退院できるはずだったが、手術した後の治りが悪く長引いてしまった。
じいちゃんはかなり最後の方まで泊り込み、看病をした。
じいちゃん自身、ばあちゃんのいない家に居辛かったのかもしれないし、
寂しかったのかもしれないとも思う。
日中に洗濯物を持って帰ってきては母に頼むこともせず(自分でしないと気がすまないらしい)
洗濯をし、ばあちゃんの気が弱って泣いているときも励ましたり、
熱が出たら泊まりこみで看病したり。
病院にダメだと言われていても、勝手に精のつくものをと魚を買ってきては食べさせていた。
ばあちゃんが「もう食べれんわぁ」と箸を置くと、「食べんのやったら帰るぞ!」と怒る。
そしたらばあちゃんは涙を流しながら食べよるんやぁ、とじいちゃんは大笑いしていた。
かわいそうで可愛いばあちゃんに、こっちが泣きそうになる。
じいちゃんなりの愛情だけど。

やっとのことで退院した日の夜、いつもどおり私は居間から自分の部屋に行く。
うちの家の作りは継ぎ足し継ぎ足しで変なことになっていて、
じいちゃんばあちゃんの寝室を横切らなければ部屋に行けない。
親切にも蛍光灯の小さい電気をつけてくれていて、通る際に消していくのだ。
それで、ふとじいちゃんばあちゃんのベットを見やると、
じいちゃんの手がばあちゃんの肩を抱いて寝ていた。
もう一度見直したが、やはりそういう構図になっていた。

ばあちゃんは足が悪く、リハビリもしているので外へ出れない。
継ぎ足しだらけの家の中を歩くのもひと苦労。
じいちゃんは「つまずくなよ」「気ぃつけや」と声をかけたり、
ごはんをついで、お盆にのせて持って行ってあげたりしている。
スッポンポンでマッサージしてあげたり、退院したての時はお風呂に入れてあげたり。

今度は、そんなやさしいじいちゃんが入院している。ずっと足が悪かった。
でも、あと2ヵ月すれば、痛みもなくなり元気に帰ってくる。
今日は手術が終わって二日目。もう普通のごはんに戻り、退屈そうにテレビを見ていた。
私が現れると達者な口を利く。
看病する母のほうが心配だがすぐいつもの毎日に戻るだろう。

ばあちゃんも、喧嘩相手がいなくてちょっと寂しそう。
だけど、泣きそうな声で人を呼ぶ術まで覚えている。
あの抱き合う2人を見れるのが待ち遠しい。

0 件のコメント:

コメントを投稿