2007-09-28

颯爽と。

発つ。
会社の送別会の帰り。
終電までの時間をつぶしに、銀座サロンに入る。
それなり、に女の子や仕事帰りの人の話がにぎわっている。
こういうの、久しぶりだな。
ひとりで珈琲を飲むことがなくなった。
ひとりで入ると、少し得意になる。
店を出る時に、ちょっとした風向きが変わった気になる。

送別会はよかった。
ふたりとも結婚に向かって明るく、後ろ髪ひかれることなく去る。
また私の前を過ぎていく。携帯にメモリが残る。
わたしはもう、ここに居ることはない。

私も次に行くんだな。
颯爽と、行こう。

2007-09-22

まこ


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「心を開いてくれたことが本当にうれしい。」

「まこという名の不思議顔の猫」
前田 敬子 (著), 岡 優太郎 (著)

せつなかわいい、って言葉はキライだけど
せつなーかわいいーばかり言ってしまう。
まさしく、「せつなかわいい」とはこの猫のこと。
だけど時に退くような人面猫(ETミックス)に変化する。
「フォースの力を信じるのじゃ」

しかしこの飼い主さんも只者ではないオサレさんである。

ネコ好きにはたまらない。。

松山へ。CAFÉ CABARET

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今日は、イラストレーター佐々木美穂さんの個展を見に松山の「サンキエーム」へ。
道中、高知へ行くよりもトンネルのストレスは少なく、瀬戸内海を眺めつつドライブ気分。
葛の蔦が木々を「のさばって」いる。

しかし、片道約2時間は遠い。おなかも空いた。
市内に着いたらすぐランチだ!

今日の目的地のひとつ、CAFÉ CABARET(カフェ カバレ)へ直行。
もうひとつの目的のお店、granola(グラノラ)のオーナーさんのブログ「コハル」で知った。

カバレとは、フランス語で、「キャバレー」のこと。娯楽要素のある飲食店という意味だそう。
元々は東京のNid cafe(ニドカフェ)のスタッフとして働いていたという、
オーナーの曽我部さんが地元に戻って開いたという。

Nid cafeといえば、恵比寿の「neuf cafe(ヌフカフェ)」、代官山の「eaucafe(オウカフェ)」
三宿の「toris cafe(トワカフェ)」と、お気に入りのユルユル系cafeのうちのひとつ。
eaucafeは初めだけだったが、靴を脱いで入れる、というcafeだった。
学生のとき、線路脇のビルの最上階にneuf cafeをたまたま見つけ、
ひとりワクワクしておんぼろのピンクのエレベーターに乗り、
透明のビニールのれんをめくって入ったのを覚えている。
その日一番客であった私の質問、
「クスクスってなんですか?」に、開店準備に追われるお姉さんは笑顔で答えてくれた。
一気にcafeという空間とかっこいい振る舞いのスタッフさんの姿に恋してしまったのだ。
その後時々のぞいたけれど、ほぼ満席で足が遠のいてしまった。
スタッフ募集のチラシにすぐさま声をかけたけど、
未経験で「やってみたい!」だけの私は断られてしまった。
CAFEブーム到来。ここはカフェ経営の夢を持つ若者の街、代官山・恵比寿。
そりゃ無理だった。
最近知ったけど、このお店のプロデューサーの武田さん、桑さんはCAFEブームの火付け役。
影響力は今考えればすごいものだったろう。

古いビルの、ひんやりしたグレーの階段を3階へ。
中階段にあるポスターや瓶が導いてくれる。
扉を開けると、昼時なのに案外ガランとしている。
一瞬不安に思ったが、キッチンの男性とフロアの女性の軽やかな声ですぐに安心した。
照らし出す無駄な明かりは必要ない。日の光だけでいい。
ああ、そうだったな、恵比寿のあのビル。窓の下の明るさを思い出す。
家具も小物も本も、オーナーの好きなもの。満ちている。
空気だけでなく、気分も開放してくれる。
料理を待つ間、店内や窓の外を見る。
BGMにキッチンの人の鼻歌が混じって、思わず頬が緩む。

ここの店主は、お客さんが自分の店でこのランチを食べるシーン・・・
時間や空気感みたいなのを想像しながら作ってる。
彼が納得するように言った。
本当に、そう思った。
店主自身カフェが好きで楽しんでいるのが、この席に座っているだけで感じられて嬉しくなる。

いいにおいが漂ってくる。。私の五臓六腑が待ち構えている。
彼は鶏肉を煮込んだものをバターライスに添えて。
私は豚バラをビールで煮込んだものとパンを。
トロトロ~。ホロホロ~。ほっぺが落ちるとはこのこと。
ふたりして、「うん。・・・うん、おいしっ。」とモクモク食べる、食べる、食べる。
パンをスープにつけて皿をさらい上げる。大満足。
こんな料理がここで食べれて、ただ嬉しい。幸せ。
そうそう、これよねと、コーヒーの香りを体中に沁み込ませて。

そのニンマリした顔がばれたのか。してやったり、なのか。
キッチンの人もフロアのお姉さんも満面の笑みで送ってくれた。
あの人が曽我部さんかしら?

曽我部さんは言っている。
~enjoy your cafe ~もっとカフェを楽しみなさい。~


2007-09-20

通勤電車の中で。

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まだ気温は33度ある。電車の扇風機も止めたり、回したり。
今日も人の少ない電車で高松に向かう。
競艇に向かう声の大きいおっちゃんから遠くに座る。
ガタガタうるさいが、この古い電車が気に入っている。
ベロア調のグリーンのシートがいい。
昔の人は、これに乗って少し鼻歌を歌ったのだろう。

最近は女性の車掌さんが多い。
若々しく活舌のいいアナウンスが、この古ぼけた電車に似合わず響く。
うつむき加減の乗客に、ひとりひとり笑顔で丁寧に声をかける。
動き、歩きはまだぎこちない。電車の揺れにヨタヨタしている。
運転室のドアがなかなか閉まらずあいてしまう。なんとか踏ん張って閉めようとするが、
ばたーーーん!
と、寝る人も飛び起きる音をたてて戸が開いてしまう。
なんども挑戦するがうまくいかない。
運転手さんと苦笑いしている。
この子の一生懸命さは、頑固な運転手さんも朗らかにしてるだろう。

乗客は無関心な振り。目の前の鼻の高いダンディーなおじさんは心配顔で見守っていた。
こっそり笑い顔を隠して外の景色を眺めた。

今日は少し頭がズキズキする。熱でもあるのかな。気のせいか。

2007-09-17

地元で迷い子。

雨が降ったり止んだり、困ったもんだの連休最終日。

まんさく」という、山深いダムを越えた所にある、山小屋のようなお店に1年ぶりに行ってみる。
地元の郵便局長を早くに退職され、絵葉書教室の先生もしている多才なご主人と奥さんが建てたお店。
お店の窓から見える山と秋の空と、クーラーで冷えた店内ににホッとする。
マンサクは冬に咲く黄色い花。「満作」と書き、「まず咲く」とのことらしい。

おなかの空いた私たち、ロールサンドにかぶりつく。
(土日はお米のおいしい素朴なランチ定食があります。)

萩祭りに行けども、まだ花は三分咲き。骨董市も雨で見る気にもなれず。
去年はピアスを買ってもらったが既に故障、完。
浴衣姿の女の子からお団子買って甘味処でまったり。
「地味すぎる、ユルすぎる、じーさんばーさんか」とか言いながら。

070917_14410002 デコに日の丸の鯉(ヒーちゃんと命名)と人面鯉と、この池の主らしきでかい鯉に熱狂。
26歳で鯉に熱中してるなんて、そうおらんで。と突っ込まれる。
だって、きれいだし大きいし、水面のエサにあんぐあんぐしている口なんて可愛いではないか。

どーしようも行き場のない二人はハラヒレホラハレ状態。
昨日も本屋でねばったり、カゴも持たずスーパーをウロウロしたり。
あてもなく車で三観地区をグルグルして、ぐったり疲れたのだった。

はじめて行った、「太鼓亭」っていう居酒屋さんは、魚も新鮮威勢もよし。地元の人に愛されてる活気があってよかった○

さてこれからどうしようかと悩んだあげく、、
夕方からは原ちゃんさとみさんに助けてもらった。
すみません・・・・本当に。。
店の1階の仏壇の前で、ふたりが買出しに行っている間だけ昼寝をさせてもらう。

なんて様・・・とも思ったけれど、とてもこれが、懐かしかった。
窓辺の、雨雲の光の下で、座布団だけで横になる。
「このひと」を昼寝の共にして。
昔はぬいぐるみを抱いてでないと寝れなかった私は、
口も手足もボロっとした堅いシロクマさん、「このひと」がかわいかった。
上に乗せて、暑苦しくてもよかった。
外を、なんともなしに見る。静か、、だな。
あるのは一人の人の気配だけ。
じんわりふんわり。
孫悟空でご飯を食べて、原ちゃんちでまたゴロゴロ。
彼を含め、気の許せる人とこうして過ごせる場所があるのが、とてもありがたい。

ありがとう、原ちゃん、さっちゃん。

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明日。

確かこんなことば。 確かこんなことば。

仕事も
家事も
子育ても
自分しかいないのだと思うと
笑顔になれる

根本きこさん

フィッシュマンズはもうしばらく聞かないことにした。

トタンをたたく気まぐれな雨音と鈴虫。

2007-09-15

おもひで、ボロボロ。

「となりのトトロ」と「魔女の宅急便」を見た。何年ぶりだろか。
中古のビデオを一部買い集めたのは上京していた時だった。
自分のために。それから、いつか自分の子どものために。
子どもの年を追って見せるのだと、友達と話をしたものだ。
所々音や画面が歪んでいる。古さの証か、何度も見てテープが擦れた証か。

オープニングからもう、嬉しい。
最後まで膝を抱えたまま、しくしくボロボロ、ゆらゆらにこにこ、止まらない。
テレビの中のでっかい世界に見入っていた子どもの頃の記憶。
こういう音楽や絵を作れる人になりたいと思わせてくれた映画たち。

場面場面のサツキやメイ、キキが私の記憶と重なる。
田舎にいた時はサツキみたいなお姉ちゃんになりたかったし、メイみたいにどくれた。
上京する時はキキみたいに街に憧れて、自分の夢とか将来とか考えて、生活する事がへたくそだった。
背筋を伸ばして大股早歩き、一日一善を心がけた。
私がわたしである事が何なのか分からないけど、とにかく。
人との出会いが楽しかったし、自信にもなった。
そして、どこでも生きて行けるようになりたかった。

それでもダメダメな時、この映画を見た。
痛み止めみたいなものだった。

なのに、26歳にもなったけど初めて見た時のまんまだし、
8年前繰り返し見ていたときと同じ、全然成長してやしない。
今はメイじゃないか?

ナウシカもラピュタも、おもひで・・・も、紅の豚も、
もののけも、千と千尋も、もう一回見て
またしばらく封印しよう。
(他のはないし、蛍はいい。。)

夜は公開初日の「ミス・ポター」に誘ってくれて見に行った。
特に感想も記憶もないけど、行けて嬉しかった。

映画3本立ては初めての体験。そんな幸せなインドア休日。。

2007-09-14

空の向こう。

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青いお空は厚い雲の向こう。
草花もいつのまにか色あせてきて。
ノウゼンカズラの艶やかさが取り残されている。ケイトウの花も花だけ色濃く。
蓮の花もあんなに咲き競っていたのにハスロだけが空を仰いでる。

この夏の一番の思い出を作ってくれた人からの手紙。
この夏はありがとうとのメッセージ。
写真は白い石造りの街の美しい南欧?の浜でポンコツ車にグラサンかけて、
ほっそりしたミヤコさんが風に吹かれている。モデル時代に撮ったもの、だって。
同時にバカな時代でもありました、と。
自分の感性を生業としていて、粋でたくましくてセクシーで面白すぎる、大先輩。
これに負けない返事を書こう。
…難問だ。

2007-09-12

往きは左、帰りは右。

往きは左、帰りは右。
長袖に腕を通すのが気持ちよくてうれしくなる季節。
これからが一番好きな季節。

この通勤もいつか懐かしく思い出すだろうと、今日も片道一時間の電車に乗る。

今の生活になった頃、高松に向かう電車から
見えるものすべて見ようとした。
家や庭や花、飼い犬、のら猫、白鷺、カラス、田圃や木、祠、海、浜。庭弄(いじ)りをするおばちゃん、腰を曲げてあぜ道を整備するおじさん。

初めての新鮮な空気と同時に、この風景を懐かしんでいる自分がいた。
いつかここではない所で、デジャブのようにこの風景を思い出すことがきっとあるのだろう。
そんな自分を知っている。

高瀬川近くの白いお馬さん。今日はいなかったな。
詫間の駅近く、簾がかけられた平屋の家。木のベンチに鉢植えの花。
いつも丁寧にそうじされ、雑種の犬がのんびり日向ぼっこ。
今日も散歩中で不在。
詫間から海岸寺間の海沿いの景色はかかさない。
空と同じ色をしていたり、荒立っていたり、凪だったり。
このために往きは左、帰りは右に席をとる。

多度津から宇多津の海岸沿いに立ち並ぶ
造船所やコンビナートのクレーンや煙突。
丸亀あたりの古くて崩れかけの工場や長屋。

いつも熱心に読み書きしている、立派なおひげと分厚いマスクのおじいちゃん。
クタクタの鞄とスーツだけど品がある姿。
しっかり者で凛とした女の子。

今日はまた天気がいい。ほんとは雨の音をじっと聞いていたいのだけれど。

でもせっかくだから
瀬戸内海のまぶしいほどのキラキラを見に行こう。

2007-09-11

幸せの黄色いちょうちょ

うっすら雨の音が聞こえて目を開けてみた。
朝のようだが閉じられたカーテンと薄明るい部屋しか見えない。
腕時計をしたまま寝てしまったらしい。
6時すぎ、まだ寝れる。

母と子供の私が昔の玄関の前に白い小さな犬を抱えて座っている。
はて子犬か老犬かは分からない。
しかし毛は抜け落ち右目が白内障になりかけている。
そうなったら死が近いと思い(きっと勘違い)、母に必死に訴えているが余り気にされない。
焦りもない、穏やかな表情に苛立っている。
家に来てまだ一年経っていないと母が言うから、
じゃあ病院行こう、きっと助かるからと私はずっと訴えている。

起きると雨の音はしないが、外も見なかった。夢の余韻が残っていた。
母が黄色いちょうちょが飛んどったよ、とうれしそうに言う。
「幸せの黄色いちょうちょが飛んどるよー。」
毎日見ている私は反応が薄かった。
しかし、ちょうちょは春の生き物だと思っていたが、違ったか。
昔は、かわいいかわいいと捕まえては羽のりんぷんが指についてしまい、弱らせてしまっていたなぁ。
雨は上がり、すっかり晴れてしまったようだ。

2007-09-09

イッセー尾形のとまらない生活 2007 in香川

人間万歳。人生万歳。
人とはこんなに愛くるしいものか。

会場はサンポートの小ホール。看板少な!謙虚だなぁ。
会場時間を過ぎて14時半になってもお客さんはポチポチ。
と思っていたらあっという間に満席。
みなさんオトナなお客様。

イッセー尾形さんの事は、好き好きと言っても詳しくはない。
学生時代に、4畳半の友人宅にみんなで集まっていた時、
イッセーさんの一人芝居のビデオを始めて見た。
それからは自分で借りて見た。

2年前には高松で「トニー滝谷」を見た。
とてもきれいで水のような映画だった。

それ以来のイッセーさんの演技。しかも生。
何人の人の生活を垣間見たか。あっという間、だった。
約2時間、休憩もせずにずっと300人の視線を放さない。
最後まで釘付けだった。

いっぱい笑った。身体で笑った。
目があった(と思って)うんうん、うなずいた。
しんみりした。

しわの先までコントロールしているような演技。
着替えタイムの素になったイッセーさんの目に、心臓がギュッとなった。
服を脱いだ時の若々しい背中におどろいた。
カツラに下敷きになった髪もツンツンだ。

自分の演技を、尋常じゃなくストイックに、何度となく、練習しているんだろうな。

イッセーさんが最後に面白いことを言った。
「高松は、最初に舞台に上がって見た時のお客さんの印象と
最後の印象の差が、全国一です。」
会場大爆笑。
「褒めてるんですよ!(笑)」

心から拍手を贈った。
イッセーさんが去った後の会場には、満足感と幸せそうな空気が満ちていた。
あ~楽しかった!あ~おもしろかった!
来年も来るそうな。万歳!

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2007-09-07

空色

空色。
空色を私の色だと言ってくれたことがある。
今日は全身を空色にした。笑っちゃうくらい、青い。

昨夜、久しぶりに、人にあれこれ言ってやりたくなって、
胸の中がくわぁ〜っと熱くなって、寝ててても熱いままだった。

空色の服で外に出たら、空はほんわりした青。
海はいろいろ混ぜた深い青緑。
駅も青いしタイヤも青かった。
いつも見てたけど「青いなぁ~」と改めて言ってしまう。

家にまで小学校の体育祭の練習の声と音楽が響いてくる。
見慣れた景色に秋があった。

この前初めて正しい皮の剥き方を知った無花果。
蓮のしっぽみたいなススキ。
こんなに飛ぶのかと驚いたバッタ。
刈られるのを待っている頭の重そうな稲穂。
紅色桃色白色鮮やかな夾竹桃。
鬼無駅には忘れられて実が処狭しとなっている柘榴。
あちこちの家の塀からこぼれているノウゼンカヅラ。
熟す前に落ちた柿。

気が荒れているときこそ、いろんなモノの変化に気付きたい。
今日もやさしく丁寧に。

じいちゃん伝説:夫婦愛編

ばあちゃんが半年くらい入院していた。
2,3ヶ月で退院できるはずだったが、手術した後の治りが悪く長引いてしまった。
じいちゃんはかなり最後の方まで泊り込み、看病をした。
じいちゃん自身、ばあちゃんのいない家に居辛かったのかもしれないし、
寂しかったのかもしれないとも思う。
日中に洗濯物を持って帰ってきては母に頼むこともせず(自分でしないと気がすまないらしい)
洗濯をし、ばあちゃんの気が弱って泣いているときも励ましたり、
熱が出たら泊まりこみで看病したり。
病院にダメだと言われていても、勝手に精のつくものをと魚を買ってきては食べさせていた。
ばあちゃんが「もう食べれんわぁ」と箸を置くと、「食べんのやったら帰るぞ!」と怒る。
そしたらばあちゃんは涙を流しながら食べよるんやぁ、とじいちゃんは大笑いしていた。
かわいそうで可愛いばあちゃんに、こっちが泣きそうになる。
じいちゃんなりの愛情だけど。

やっとのことで退院した日の夜、いつもどおり私は居間から自分の部屋に行く。
うちの家の作りは継ぎ足し継ぎ足しで変なことになっていて、
じいちゃんばあちゃんの寝室を横切らなければ部屋に行けない。
親切にも蛍光灯の小さい電気をつけてくれていて、通る際に消していくのだ。
それで、ふとじいちゃんばあちゃんのベットを見やると、
じいちゃんの手がばあちゃんの肩を抱いて寝ていた。
もう一度見直したが、やはりそういう構図になっていた。

ばあちゃんは足が悪く、リハビリもしているので外へ出れない。
継ぎ足しだらけの家の中を歩くのもひと苦労。
じいちゃんは「つまずくなよ」「気ぃつけや」と声をかけたり、
ごはんをついで、お盆にのせて持って行ってあげたりしている。
スッポンポンでマッサージしてあげたり、退院したての時はお風呂に入れてあげたり。

今度は、そんなやさしいじいちゃんが入院している。ずっと足が悪かった。
でも、あと2ヵ月すれば、痛みもなくなり元気に帰ってくる。
今日は手術が終わって二日目。もう普通のごはんに戻り、退屈そうにテレビを見ていた。
私が現れると達者な口を利く。
看病する母のほうが心配だがすぐいつもの毎日に戻るだろう。

ばあちゃんも、喧嘩相手がいなくてちょっと寂しそう。
だけど、泣きそうな声で人を呼ぶ術まで覚えている。
あの抱き合う2人を見れるのが待ち遠しい。

2007-09-05

高知へ。つづき(2)

ボンコアンからすぐ近く、若いアーティストの拠点にもなっているギャラリー、graffitiへ。
川沿いに立ち並ぶ「藁工倉庫」という古い倉庫をリノベーションしている、重厚な建物。
活躍しているアーティストから若いアーティストまで、様々なジャンルの作品や本、CDや商品が並んでいて刺激的だ。

この日は、大西弘美さんの写真展「プルニキエ現象」が行われていた。
「プルキニエ現象」とは、夏の夕方などにおこる、青いろが鮮やかに、赤いろがくすんで見える現象のこと。
それをテーマに撮った風景やスナップ写真があった。
女の子の視点を思わせる、淡い世界だった。
いつだったか、東京のフリーペーパーでその現象を特集していて、
街全体が青くみえる現象をいつか見たいと思っていた。
実際に1回だけ、日が落ちた直後数分の「プルニキエ現象」に遭遇できたことがあった。

コンクリートも、街頭も、山々も、すべてが真っ青に塗られてその濃淡だけで描かれた世界みたいだった。青い世界がいつまでも続けばいいのにと思った。

ギャラリー内のcafeにはこっそり「はなればなれ珈琲」が販売されていた。
今年、牧野植物園で行われたアースディイベントにいて、彼がとても気に入ったお兄さんの珈琲だ。ちょっと、似ているのだった。
そんなに遠くない、そのうち。あの珈琲に会えるかな。

それから、高知城ちかくの「かぜり」という和風のcafeへ。お堀のさくら並木が青々と見えて、ゆったり広い店内。と、彼がウトウト。。

復活したところで次回高知訪問のターゲットをチェックして回り、セブンデイズホテル周辺を探索、 ギャラリー M2へ。移転してはりまや橋町に来たばかり。見慣れた前川秀樹さん作の看板が目に入る。
残念、今日はお休み。
外から「オサレだねー・・・」とふたり並んでガラスに張り付きアングリ眺め見る。明らかに怪しい。
でも、同じような格好をしている子がガラス張りの向こうにもう一人。仲間は居るものだ。
前のM2は、雑居ビルにほっそりはまった店内。周りの飲み屋街の喧騒とは別世界。
優しい白で無造作に塗られ、手の温度があるようで好きだった。
新しいM2は2面ガラス張りで広々。商品もゆったり並べられている。
次回の高知訪問の楽しみだ。

続いてgiggy2へ。
ここは、以前尚子さんが出してくれたお茶がすごく香ばしくておいしい蕎麦茶で、
「どこで買ったの!?」と教えてもらったのがきっかけだった。
蕎麦茶もあるけれど、行ってみたら作家さんの器や布、ガラス、木の道具など置いている、とてもこだわりのあるハイセンスなお店だった。
さわって眺めて、ため息をつく怪しい2人。
こういうものを日常的に使える生活は出来ていないので断念。
いつも見るだけでごめんなさい。。

高知へ。つづき(1)

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おばあちゃんが乳母車を押して散歩している。
平日の静かな市内。
休日しか来た事のない私たちに、いつもとは少し違う高知の表情を見せる。

とおりのこちら側の商店街は逆に人の温度がする。
日曜日はいつもガランとしたシャッター街だ。

二階の窓が開いて、揺れる白いカーテンに人影が見える。
入り口を開けると、ドタドタドタドタっと階段を下りてきて
「あぁ〜こんにちはぁ」
外身も中身もすっぴんな笑顔に、今日も会えた。

尚子さんに初めて会ったのは、丁度1年前くらい。
1度目は海花(はな)のオーナーさんに場所を教えてもらい目指したが、
感と運命を信じる、方向音痴のくせに適当なふたり。
チンプンカンプンな場所を歩き回ってヘトヘトになり、日が落ち、挫折。
2度目に「この前たどり着けなかったんです(泣笑)」と話し、
連絡までしてもらってテクテク歩いて行ったら、
なぜこんな所に!という静かな商店街の道で手を振ってくれていたのだ。
その姿に感激したのと、彼が飛び上がって手を振り返したのは同時だったか。
彼ともつきあって間もなかったため、そんなに彼の性格を把握していなかった私は
そんな彼にびっくりして、にんまりした。…のは、秘密。
それ以来、高知に来たらほぼ立ち寄って、お店の品々と尚子さんとのおしゃべりを
味わい尽くさないと帰れないのだった。
「ボンコアン」とはフランスの三角地帯・良い角地という意味。
三叉路の真ん中にほっそりと建っている。

BGMを付けると爆音で驚く。慌てて下げ、「掃除の時はいつもこうなんよ」と照れ笑い。
さっきやっとワルンに行ってきた事、アローに行った事、ハナレグミのライブでの事と、
話はたぁ〜んとある。
冷たいジャスミン茶を出してくれる。
しゃべりながらホッと椅子に座ったり、小物や布を見て手に取ったり、表へ出て空を眺めたり。
友達の家に遊びにきたような、やさしい時間。
新しいものがポツポツと、コンクリートの床や木の棚に整然と並べられ、
紙の切れ端に小さく説明と値段が書かれている。
私では普段の生活の中で絶対目に留められないような物ばかり。

それらを拵(こしら)えたは、目を細めて指を動かすヨーロッパの昔の職人さんか。
はたまたエプロンをした田舎のお母さんか。
そして何処かの誰かさんに大切に使い込まれていって人づてにまた誰かの手に渡り。
パリ在住のオーナーさんがパリの蚤の市で導かれるようにそれを手に取り、
丁寧に梱包され、ここに来た。そして、尚子さんの手で丁寧に並べられ…。
そんな時間が見えてくる。
偶然のような、奇跡のような、
でもそんな人たちによって、来るべきしてここに来た物達。
美術館のようで、しばらく眺めていたい気持ちになる。

置いたままの姿でじっと見て、次にそっと手に取って見つめ、裏返し、そっと元の位置に置く。
しかし、その品々の緊張感とはちがう、尚子さんのもつ空気にいつも和んでしまう。

そこに、先ほどワルンに来ていた、もの静かなご夫婦が。
その姿と空気で何となく解る、このルートを辿る暗黙の仲間のような。
「あぁ久しぶりです!髪切られてるからわからんかった!」と尚子さんと顔見知りのよう。
狭い店内、場所を譲りつつこの小さな空間にいる時間を、互いに大事に共有する。

070908_19020001_256 本日の収穫は、アンティークのビーズのピアス(透明のリング)と黒いバラみたいなビーズのネックレスとプラスチックだから500円、という軽いネックレス。水色のビーズのピアスは、前回買ったもの。
少しづつ尚子さんとお揃いが増えそう。。

じゃぁまたね。また来ます。

さて次はどこ行こう。

高知へ。

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瀬戸内海側から太平洋側へ。山の向こうは焼き付ける暑さだった。
これでもまだ過ごしやすくなった、と地元の人は言うだろうが、
いつもと勝手の違う照りつける太陽に、ふたりは電柱の影に一本に並ぶ。
高知城周域に流れる水路と、水路沿いに揺れる木陰の下にある家々、
花壇、放置自転車、近くに商店街。
高知の太陽の下、日常に馴染んだ異国っぽい看板があった。

「WELCOME TO LOVELOVE WARUNG CAFE KOCHI STYLE」

今日は平日水曜日のお昼。商店街は閉まっているところが多い。
近所の事務員ぽい制服のおばさんや、雰囲気のある静かなご夫婦。
小さい子供と散歩中のお母さん、自転車で乗り付ける知り合いや、海花のお姉さん。
今日は休みで、と話す。
ここは、特別な気持ちで来た私たちとは違うあたりまえの時間が流れている。
いつもどおりふらっと寄って「…しちゅうがよ」「…しよったが?」と声を掛け合い、開け放しの店先のいすに座り、花柄のお皿やお椀に盛り上げられたご飯をいつもどおり黙々食べる。
太陽とトムヤムスープに汗を流しながら、扇風機だけではたまらん!と、
ちょっとオマケのかき氷をひとくち入れてツメター・・・という顔をしている。
ふら〜と寄って来たパンチパーマのオバチャンは、何の店かわからんけど何やコレ?
と店先の机によけられたケーキをのぞき見て、去る。
享子さんとお手伝いの子がしゃべりながらお手拭やお水、料理を手際良くだしてくれる。
BGMはスカンク兄弟
バッチリだ。。
思わずこっちをじっと見ていた女の子に笑いかけてしまう。

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彼はランチメニュー「おかずのっけごはん」、私は「アドボ」。豚肉をトロトロに煮込んだもの。
ごはんは玄米を選び、他、セルフのトムヤムスープ(100円!)とチャイ、スモモのカキ氷をいただいた。
決して地元の味付けに流されていない、高知の享子さんが作るミラクルな味。おいしい。
燦々と照りつける高知の空の下で、人目構わず汗を流しながら食べるのがいい。
ナンプラーと唐辛子が利いたトムヤムスープに、
彼は見た事のない顔をして「目から花火が出た」とむせていた。

ごちそうさまの時に「丸亀のMIMOCAであったハナレグミライブの時に・・・」と明かしたら
「なんか見た事あるけど誰やろかぁ、知り合いの漁師さんかなぁて思ってたんよー!!!
気持ち悪いままやったから分かってよかったー!」と。
しかしうちら、知り合いに似とるって言われるの何人目だろう。。でも、馴染みの友達になれたようで嬉しかったりする。
Cimg1242_640_100( ←知り合いの漁師?香田晋?)
会えたことを大喜びしてケーキを持たせてくれた。
本当にやさしいくて明るい、コロコロ笑う顔が可愛い
高知のお母ちゃんなのだ。(いや、もっとお若いんだけど・・・)
また帰ってきたいなぁ。

2007-09-03

アムちゃんのプリン。

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期限付きだけど、とっておきの楽しみが出来た。

彼にもプレゼントした、アムプリン

「な?でっかくておいしいやろ?北海道のハチミツと卵と砂糖で作った手作りプリンだよ!しっかり焼いてるから日持ちして、しかも日に日にコクが増すんだって!」

・・・・・父母にあげたけど反応いまいち。甲斐がないのはいつものこと。。だけど!
本当に、作る人の真心とか期待を裏切る両親に育った私は、反面教師の両親のお陰でこんなふうになったのだ、と常々思う。
入院してるじいちゃんと、じいちゃんがいなくて寂しそうなばあちゃんにも持っていこう。
きっとふたりは喜んでくれるだろう。

二層になっているここ、ここがたまらない。(写真のとこ)
アムちゃんの注意書きどおりにスプーンですくって少しつづ食べる。
ひと口食べれば、もうここは北海道の大地☆(大げさか?)
アムちゃんの暮らすミノムシみたいな家や、
北海道のあの大地や、
チチを絞らせてくれた牛さんとか、
卵を産んでくれたにわとりさんとか、
ビートとか、蜂さんとか、
飼育・栽培してくれている人たちが目に浮かぶ。
アムちゃんと旦那さんふたりが、
ペコリと頭を下げてありがとうって言いながら材料をもらってきて、
計って、混ぜて、丁寧に焼いて、心配そうに釜の中を見ている様子や、
丁寧に箱に詰めている様子が思い浮かぶ。
プリンの入れ物は陶芸家の方が丁寧にアムちゃんにアドバイスしてくれた、
とっても頑丈な焼き物だそうだ。
これで今度は私が、何を作ろうかな。
注文の電話口で対応してくれたアムちゃんは、とっても自然に丁寧に、
ひとつひとつ確認しながら聞いてくれた。
彼の分、誕生日のプレゼントと言うと、ちゃんと箱の中にカードを入れてくれた。
箱には松ぼっくりの印。
アムちゃんと、手伝ってくれたり応援してくれたりしている人たちが、この器の中で、
まぁるく。ふかぁく。
プリンになって収まっている。
これを食べるすべての人に、アムちゃんの心が届きますように。

ありがとう。いただきます。

2007-09-02

ばっちぐぅ~!しゃらっぷ!

午前中は久しぶりにダラダラ9時まで寝たけれど、寝たら寝たで身体が起きなくてつらい。
今日は冬椿に原田夫婦の友達、篠さんが奥さんと東京からやって来た。
奥さんとは初めて。明るくよくしゃべる、小柄で元気な人。
あの篠さんの奥さんだ、只者ではないはず。
なりそめを勝手に想像しようとするが、想像もつかない。
剛毛なところが私と似てる、と原ちゃんから言われていたが本当だった。
篠さんは西荻の主のような人。道を歩けばみんなが声をかけてくるらしい。
有名人のあんな人こんな人と友達だったりして驚かせる。
だけど驕(おご)ることもなく、私なんかにもチャン付けで呼んで、
「東京に来るならゆってよ~案内するから~」と気にしてくれる。
(でも言ったらどんだけ飲み屋をハシゴされるか分からない、恐怖である。)
朝まで飲んで仕事に行って、休日は草野球に打ち込む、酒と野球と友達を愛するおじさん。
この日も彼に、「誕生日だったの~!言ってよ~!(なんか持ってきたらよかった)」と。去年もこの時期偶然来ていてRed SoxのTシャツをくれていた。
口癖は「まいったよ~。」沈事件の話はつきない。。また別の機会に話すとしよう。

篠さん夫婦、原田夫婦、驢馬とレッドフォード、鳥博士、nishi、矢野さん、うどん屋さんも来て酒も入り大盛り上がり。トークバトルの開始である。。
うどん屋さんがメガネをかけると、なぎら健壱に似てるとみんなでギターを持たせて撮影大会。。
ばっちぐぅ~!しゃらっぷ!なんて死語も連発、爆笑必至。
もうこうなったらシラフの2人はついて行けない。彼と退散!

行く当てもなくぶ~らぶら。

行くとこもなくぶ~らぶら。

多度津の怪しげな建物の占い道場を見て、
いい雰囲気をかもし出しているという「小皿」という店を横目に通り過ぎ、
ゴールドタワーの展望台に産まれて初めて行って、
金のトイレ見て、金のスリッパ触って、

ぶ~らぶら。ぶ~らぶら。

アルペン行って、ザグザグ行って、
「恋人たちはどこで何をしてるんだろうね~」ってぼやいて、
おなかが空くのを待つ。

琴平に行って、「紅鶴」ではなくて「紅龍」は閉まっていて、
善通寺のインドカレー屋さんでおなかいっぱいになって、帰る。。
彼はとても疲れていた。私もいっぱい考えたからか疲れた。
そんな日もあるよね。そんな日でも楽しめる知恵が必要だな。

2007-09-01

はっぴばーすでー

Happy birthday dear N-Yan


Happy birthday to you〜
Happy birthday to you〜
Happy birthday dear N-Yan〜
Happy birthday to you〜

パチ
パチ
パチ
パチ
パチ
パチ
パチ
パチ
パチ
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