2007-09-05

高知へ。つづき(1)

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おばあちゃんが乳母車を押して散歩している。
平日の静かな市内。
休日しか来た事のない私たちに、いつもとは少し違う高知の表情を見せる。

とおりのこちら側の商店街は逆に人の温度がする。
日曜日はいつもガランとしたシャッター街だ。

二階の窓が開いて、揺れる白いカーテンに人影が見える。
入り口を開けると、ドタドタドタドタっと階段を下りてきて
「あぁ〜こんにちはぁ」
外身も中身もすっぴんな笑顔に、今日も会えた。

尚子さんに初めて会ったのは、丁度1年前くらい。
1度目は海花(はな)のオーナーさんに場所を教えてもらい目指したが、
感と運命を信じる、方向音痴のくせに適当なふたり。
チンプンカンプンな場所を歩き回ってヘトヘトになり、日が落ち、挫折。
2度目に「この前たどり着けなかったんです(泣笑)」と話し、
連絡までしてもらってテクテク歩いて行ったら、
なぜこんな所に!という静かな商店街の道で手を振ってくれていたのだ。
その姿に感激したのと、彼が飛び上がって手を振り返したのは同時だったか。
彼ともつきあって間もなかったため、そんなに彼の性格を把握していなかった私は
そんな彼にびっくりして、にんまりした。…のは、秘密。
それ以来、高知に来たらほぼ立ち寄って、お店の品々と尚子さんとのおしゃべりを
味わい尽くさないと帰れないのだった。
「ボンコアン」とはフランスの三角地帯・良い角地という意味。
三叉路の真ん中にほっそりと建っている。

BGMを付けると爆音で驚く。慌てて下げ、「掃除の時はいつもこうなんよ」と照れ笑い。
さっきやっとワルンに行ってきた事、アローに行った事、ハナレグミのライブでの事と、
話はたぁ〜んとある。
冷たいジャスミン茶を出してくれる。
しゃべりながらホッと椅子に座ったり、小物や布を見て手に取ったり、表へ出て空を眺めたり。
友達の家に遊びにきたような、やさしい時間。
新しいものがポツポツと、コンクリートの床や木の棚に整然と並べられ、
紙の切れ端に小さく説明と値段が書かれている。
私では普段の生活の中で絶対目に留められないような物ばかり。

それらを拵(こしら)えたは、目を細めて指を動かすヨーロッパの昔の職人さんか。
はたまたエプロンをした田舎のお母さんか。
そして何処かの誰かさんに大切に使い込まれていって人づてにまた誰かの手に渡り。
パリ在住のオーナーさんがパリの蚤の市で導かれるようにそれを手に取り、
丁寧に梱包され、ここに来た。そして、尚子さんの手で丁寧に並べられ…。
そんな時間が見えてくる。
偶然のような、奇跡のような、
でもそんな人たちによって、来るべきしてここに来た物達。
美術館のようで、しばらく眺めていたい気持ちになる。

置いたままの姿でじっと見て、次にそっと手に取って見つめ、裏返し、そっと元の位置に置く。
しかし、その品々の緊張感とはちがう、尚子さんのもつ空気にいつも和んでしまう。

そこに、先ほどワルンに来ていた、もの静かなご夫婦が。
その姿と空気で何となく解る、このルートを辿る暗黙の仲間のような。
「あぁ久しぶりです!髪切られてるからわからんかった!」と尚子さんと顔見知りのよう。
狭い店内、場所を譲りつつこの小さな空間にいる時間を、互いに大事に共有する。

070908_19020001_256 本日の収穫は、アンティークのビーズのピアス(透明のリング)と黒いバラみたいなビーズのネックレスとプラスチックだから500円、という軽いネックレス。水色のビーズのピアスは、前回買ったもの。
少しづつ尚子さんとお揃いが増えそう。。

じゃぁまたね。また来ます。

さて次はどこ行こう。

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